2003年11月06日

「過労死の温床に」に歯止めを

限度超す残業に制限  年間の超過期間―6ヵ月以内に(10月23日・共同通信配信)


 厳しい雇用状況で長時間労働がまん延する中、厚生労働省は23日までに、1ヵ月45時間以内などと定めている残業の限度基準について、この限度を超えることができる期間を年間で通算6ヵ月以内と制限するように現行基準を見直した。既に都道府県労働局に通達しており、来年4月1日から実施する。
 残業時間は労使協定で決め、限度時間が基準で定められているが、特例措置によって、実質的に無制限に残業ができるようになっていた。厚労省は、これが過労死の温床ともされる恒常的な長時間労働の原因になっているとして、一定の歯止めをかけるため基準の見直しに踏み切った。
 労働基準法によると、一日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて働く場合、労使で協定すれば残業することができる。その場合、労基法で大臣が定めることができる「時間外労働の限度に関する基準」では、一週間で15時間、3ヵ月で120時間などと限度時間を定めている。これ以上の残業が必要な場合、労使で「特別条項」付きの協定を結べば、無制限な残業が可能となっていた。
 現行では、限度時間を超えて時間外労働ができるのは特別の事情が生じたときとしてきたが、実際には恒常的に特別条項付きの労使協定に基づく残業が多いため「臨時的なものに限る」との条件を加えた。
 臨時的なものとは、一時的に残業する必要があり、通算で半年を超えない業務。仕事上で必要とか、やむを得ないときは該当しないとし、できるだけ詳しく内容を記すよう求めており、この基準を満たしていない場合、労働基準監督署が改善を促す指導や助言を行う。
 この基準に罰則はないが、厚労省は指導の根拠としており「際限なく働かせることができる状況では、労働者の健康を守ることはできない。労使とも最低限の働くルールとして守ってほしい」と話している。

≪時間外労働(残業)の限度に関する基準≫
 労働基準法によると、法定労働時間を超えて働かせるときは、労使間であらかじめ残業時間の協定を結び、労働基準監督署に届ける必要がある。残業は例外とみなされており、厚労省が定めた残業限度の基準に従わなければならない。企業が特別の事情で基準を超えて残業させる場合には、労使で特別条項付き協定を結ばなければならないが、これまで期間の制限はなかった。


基発第1022003号
平成15年10月22日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長
(公印省略)
労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準の一部を改正する告示の適用について
 労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準の一部を改正する告示(平成15年厚生労働省告示第355号。以下「改正告示」という。)
が本日公示され、平成16年4月1日から適用されることとされたところであるが、その改正の経緯、趣旨及び内容等については、下記のとおりであるので、了知の上、その円滑な施行に遺漏なきを期されたい。
 なお、周知に当たっては、別途リーフレットを作成し送付することとしているので、有効な活用を図られたい。
1 改正の経緯
 労働基準法(以下「法」という。)第36条第1項の協定(労働時間の延長に係るものに限る。以下「時間外労働協定」という。)については、「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」(平成10年労働省告示第154号。以下「限度基準」という。)及び「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」(平成11年基発第45号。以下「平成11年局長通達」という。) 等に基づき、指導を行ってきたところである。
 使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者(以下「労使当事者」という。)は、時間外労働協定において一日を超える一定期間(以下「一定期間」という。)についての延長することができる時間(以下「一定期間についての延長時間」という。)を定めるに当たっては、限度基準別表第一の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる限度時間を超えないものとしなければならないとされているところであるが、限度時間以内の時間を一定期間についての延長時間の原則(以下「原則となる延長時間」という。)として定めた上で、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情が生じたときに限り、一定期間として協定されている期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間を超える一定の時間(以下「特別延長時間」という。)まで労働時間を延長することができる旨を協定すれば(この場合における協定を「特別条項付き協定」という。以下同じ。)、当該一定期間についての延長時間は限度時間を超える時間とすることができることとされているところである。
 しかし、実際には、恒常的に特別条項付き協定に基づく時間外労働が行われている例が見られることから、平成14年12月26日の労働政策審議会建議において、「働き過ぎの防止の観点から、この「特別の事情」とは臨時的なものに限ることを明確にすることが必要である。」とされたことを踏まえ、平成15年9月8日から労働政策審議会労働条件分科会で検討され、同年9月22日の同分科会で了承されたものであること。
2 改正の趣旨
 限度基準において、「特別の事情」とは臨時的なものに限ることを明確にすること。
3 改正の内容
(1)「特別の事情」は、臨時的なものに限ることとすること。
 この場合、「臨時的なもの」とは、一時的又は突発的に時間外労働を行わせる必要があるものであり、全体として1年の半分を超えないことが見込まれるものであって、具体的な事由を挙げず、単に「業務の都合上必要なとき」又は「業務上やむを得ないとき」と定める等恒常的な長時間労働を招くおそれがあるもの等については、「臨時的なもの」に該当しないものであること。
(2)「特別の事情」は「臨時的なもの」に限ることを徹底する趣旨から、特別条項付き協定には、1日を超え3箇月以内の一定期間について、原則となる延長時間を超え、特別延長時間まで労働時間を延長することができる回数を協定するものと取り扱うこととし、当該回数については、特定の労働者についての特別条項付き協定の適用が1年のうち半分を超えないものとすること。
(3)「特別の事情」については、できる限り詳細に協定を行い、届け出るよう指導すること。
(4)提出された協定に回数の定めがない場合は、「特別の事情」が「臨時的なもの」であることが協定上明らかである場合を除き、限度基準に適合しないものとして必要な助言及び指導の対象となるものであること。
4 適用期日
 改正告示は、平成16年4月1日から適用され、同日以後に時間外労働協定を締結する場合及び同日以前に締結された時間外労働協定を同日以後に更新する場合に適用されるものであること。
5 周知徹底
 改正告示及び本通達については、特別条項付き協定の協定の仕方に関して労使に影響を与えるものであるので、平成16年4月1日からの円滑な施行に向けて、改正告示及び本通達の内容を広く使用者、使用者団体、労働者、労働団体等に対し、リーフレット等を活用して、時間外労働協定の受理時や各種集団指導等により十分周知すること。
6 通達の整理
 平成11年局長通達を別紙のとおり改正することとしたこと。
 これは、今回の告示の改正に伴い、所要の整理を行ったものであり、改正告示の適用期日以降については、本通達によるほか、本通達による改正後の平成11年局長通達によることとするので、その運用に遺漏なきを期されたいこと。

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