2003春闘方針(要 旨)
全国一般労働組合
T はじめに
(1)完全失業率(02年10月)は5.5%となり、で過去最悪の水準となっている。女性の失業率は4.9%であるが、男性は5.9%で過去最高を記録し危険水域ともいえる。完全失業者数は前年に比べて10万人増え362万人となっており男女別では男性225万人、女性137万人である。有効求人倍率(季節調整値)は0.56倍で低水準のままで、再就職の厳しさを映し出している。
 この失業実態は、中小企業での倒産・閉鎖とともに、大手企業のリストラが背景にある。東京証券取引所上場企業の従業員数調査では、1年前に比べて製造業で10万人余が減少している。このような、失業者増の実態は、社会に暗い影を落としている。年間自殺者(2001年)は3万1042人と悪化し、加えて個人破産も激増している。このような調査結果を見るまでもなく、雇用不安、生活不安、将来不安が働く仲間にのしかかっている。
(2)失業者増は、職場で働く仲間への影響も大きい。「雇用さえあればなんでもあり」の風潮が強まり、賃下げ、労働条件不利益変更、正規雇用からパートや契約労働者への雇用形態の一方的変更など雇用合理化が相次いでいる。
(3)このような現実の中で労働組合の役割りと存在意義が問われている。失業に反対し雇用を守る闘い、生活を守るための賃金闘争は、自らの賃金・労働条件は労使対等での決定という基本原則の実践である。さらには、相次ぐ企業不祥事にチェック機能はどうなっているのか、それらの基礎にある平和と民主主義を守る闘いに労働組合が立ち上がっているのか、など課題は山積みである。その重要な闘いが春闘である。企業別に組織されている日本の労働組合が企業や産業のカベを克服しての闘いを発展させてきた。
(4)連合は「春季闘争の位置づけと意義」について、2000連合白書で次のように指摘している。「春季生活闘争は40年以上にわたる歴史を持ち、連合結成以降の10年間においても、時代状況に対応した枠組みや柱立てを模索してきた。春季生活闘争は、単に時期を揃えた賃上げ交渉ではない。個別の交渉の総和でもない。それが与える社会的なインパクトというものが非常に重要なのである。民間の労働組合の交渉結果は、官公労働者の賃金決定に波及するとともに、法定最低賃金の改定にも連動し、結果として、組織労働者の春季生活闘争の結果が、労働者全体の賃金引き上げに大きな影響を及ぼしている。つまり、日本全体の賃金決定の仕組みが『社会的所得分配メカニズム』として形作られているのである」、「春季生活闘争は、賃上げ・時短はもちろん、さまざまな労働条件について社会的な相場を作りつつ、労働条件の社会的横断化をめざしていく取り組みでもある。それを通年的な取り組みだけでなく、労働協約の改定時期に合わせて一斉にやろうというのが、統一闘争としての春季生活闘争なのである」。
(5)このように春闘を『社会的所得分配メカニズム』と位置づけてきたにも係らず、2003春闘にあたっては「要求基準」は各部門や産別組織に委ねる方針となっている。「上げ幅(賃金引き上げ)共闘は困難」という認識のもとで「春闘改革」として2003春季闘争の準備がすすめられている。その背景には、@経済がグローバル化するなかで国際的にも、また国内においても企業間競争がより一層強まってきていること、Aとりわけ中国などアジア価格の波及や国内需要が停滞するなかでの価格破壊、デフレの進行、B労働者からは「成果主義賃金」が広がる中での労働組合としての集団的労使関係の機能低下・・・などがある。
(6)しかし、企業別や産業別に賃金決定を委ねることになれば、賃金闘争の困難性は倍加するのは明らかである。2002春闘で史上最高の1兆円の収益をあげた大手企業別労組でさえベアゼロという結果に終わった。たとえ業績が良くても一企業別労組の闘いでは賃金引き上げが困難であることを春闘結果は教えている。また、中小労働者の闘いは、春闘相場が消えるなかでの賃金引き上げの闘いは厳しさを増し、定昇程度が精一杯という状況や大手のベアゼロ、賃下げという結果にマイナス波及し、賃金引下げやゼロ提案が相次いだ。それだけではない。民間の賃金決定が低位平準化や賃下げが相次ぐなかで公務員労組にも波及し、史上初の「月例賃金の引き下げの人事院勧告」さえ出され、公務員労働者への賃下げが相次いでいる。この結果を受けて、福祉や医療など公務員に準拠している民間労働者の賃金引下げが現実のものとなっている。
 だからこそ、「40年以上にわたる歴史」のなかでナショナルセンターが軸となって春闘を闘ってきたのであり、その闘いは相場の形成と波及という社会的所得分配メカニズムとして機能を発揮してきたのである。その機能は自然に生まれたものではなく、経営者団体の攻撃に抗して労働組合の意識した闘いがあったからに他ならない。
(7)社会的に圧倒的多数である中小企業や中堅企業の労働者の賃金実態は、連合が結成以来掲げてきた「ゆとり、ゆたかさ」にはほど遠い状況にある。定時間労働での所定賃金では生活が苦しく、残業に依存しなければならないし、家族総働きで生活を維持しているのが実態である。大手企業に比べ賃金や労働条件、福利厚生費などすべての面で格差が大きく、また拡大傾向にあるなかで、生活改善に向けた取り組みとしての春闘のもつ意義も大きいことから、2003春闘では賃金引き上げを積極的に取り組んでいく。
 小泉政権の経営危機を背景に雇用不安をあおるなかで賃下げの逆提案や賃金凍結を余儀なくされた職場が少なくない。これらの現状を総括し、春闘の再生を担っていかなければならない。たとえ経営困難な企業でも、経営責任は「そこに働く労働者の生活維持分は引き上げていく社会的責任がある」のであり、労働組合として「要求する権利」を放棄するのではなく、すべての働く仲間との共同した取り組みを追求していくため、すべての職場が参加しての春闘を組織していく。
U.2003春闘の課題
1.全国一般の基本方針
(1)労働者は自ら働く企業からの賃金で生活している。賃金は生活収入の唯一の道である。家族ともども健康で文化的な生活を支える賃金要求は当然のことであり、全国一般の実態調査でも、中小労働者の賃金水準は低く、時間外労働をしなければ生活維持もむずかしい、家族総働きという状況下にあり、生活に基礎をおいた賃金原則を堅持し、積極的な賃金引き上げの要求を組織していく。
(2)業績が色濃く反映して相場形成力が失われているのが今日の春闘実態である。賃金格差が縮小するどころか逆に拡大する傾向が強まっている。格差問題は、大企業と中小企業の不公正な取引問題や金融機関による貸し剥がしや賃金抑制圧力などに起因している。今日の経済低迷の情勢下では、企業の論理や業績に依拠しているのならば一層の格差拡大を許してしまうのは明白である。
 生活実感にもとづいた要求を組織し、生活改善に結びつく積極的な賃金引き上げのたたかいを組織していく。その取り組みの中で、経営実態が厳しければ、その要因は何なのか、その改善策はなど今後の雇用と職場を守るための対策が必要となってくる。はじめから要求をあきらめてしまえば、自らの雇用や生活権を経営者に委ねてしまうことになり、労働組合としての権利放棄になってしまう。
(3)春闘では、経営側の企業別へ分断する攻撃が強まってきており、共闘効果を半減させる攻撃が顕著になりつつある。したがって、労働組合の統一闘争の観点で全国一般としての統一闘争をつよめ、その力を全国一般内で完結させることなく共に闘う産別や地域の仲間、連合の地方組織へ運動を持ち込み、共闘体制を広げていく取り組みを2003春闘では目的意識的に取り組んでいく。
 また、総額人件費管理と称しての賃金抑制、更には労働者間の競争を取り入れての能力・成果配分を拡大する多立型賃金体系なるものを日本経団連は提言を行ってきている。その狙いは、集団的な労使関係ではなく個々人の能力に応じての賃金支給であり、昇給という概念も昇降給であるべき、と今までの方針を一歩踏み出したものとなっている。それは、職場においては労働者間の分断と競争政策となって現れている。したがって、2003春闘を具体化するにあたって賃金体系についての全国一般の基本を提起していく。
(4)労働者・労働組合が企業を越えてたたかうという春闘の原点を否定する経営側の戦略的な狙いがあるなかで、全国一般は格差是正、生活実態にもとづく賃金要求を組織し、労働者の統一したたたかいを築くなかで春闘相場の形成と波及を重視して取り組んでいく。
V.2003春闘の統一要求基準(案)
1.賃金引き上げの闘い
(1)私たち労働者の唯一の収入源は月々の賃金が基本である。したがって賃金によって労働者の生活力が決定するのは自明の理である。言いかえれば賃金は生活費を基礎とした「労働力の再生産費」である。
(2)中小労働者の生活実態に基づく賃金要求を組織していく。35才労働者を基準とした個別賃金要求を各職場で取り組み格差の実態を明らかにするなかで到達闘争を組織していく。同時に、あらゆる労働者を対象とした平均賃上げ要求も取り組んでいく。
 現在取り組んでいる賃金実態調査にもとづいて、格差を明らかにする中で格差縮小を実現する要求を組織していく。
(3)中途採用者、パートなど賃金が低い労働者の要求も汲み上げ、底上げをはかるために年齡別最低賃金、企業内最低賃金要求を組織していく。この取り組みを最賃闘争へと広げていく。
(4)規模間、地域間の賃金格差が拡大するなかで、中小共闘センター、地方連合で取り組む「○○円以下をなくす」、地域ミニマム闘争を強化していく。
2.全国一般の賃上げ要求基準
 全国一般は、連合の個別賃金到達目標額を参考値に、現在取り組んでいる全組合員を対象とした賃金実態調査を踏まえ、平均賃金引き上げ要求及び個別賃金要求を組織していく。
(1)平均賃上げ要求
 実質賃金を維持するため、定期昇給保障分1.7%に加え、生活向上・格差解消、公租公課負担増分を基本として、定昇込みの平均賃上げ要求8,000円以上を基準として取り組んでいく。なお、連合の試算によれば、1年1歳の賃金カーブ維持分は5,700円であり、この水準を確保して、はじめて現状維持であることを明らかにしている。
(2003春闘全国一般調査での平均賃金は260,322円×3%≒8,000円)
(2)年齡別個別賃金要求
@35歳一人前労働者での水準設定を行って取り組んでいく。
A全国一般組合員の現行賃金水準

中位数第3四分位第9十分位
35歳233,945円274,100円324,286円
30歳215,100円247,870円282,028円
B個別賃金要求基準

到達水準
35歳労働者
282,400円以上
30歳労働者
255,300円以上
  (連合 35歳勤続17年  305,000円以上)
  (    30歳勤続12年  264,000円以上)
(3)年齢別最低賃金要求
 中途入社者の賃金の改善と格差是正をすすめるため、年齢別最低賃金を要求していく。 年齢別最低賃金は全国一般の賃金実態をもとに第1四分位の水準を基礎に設定していく。 最低賃金とは、勤続ゼロ年の仲間でも到達すべき水準である。

 年齢別最低賃金要求
18歳  155,700円
35歳  217,700円
20歳  161,700円
40歳  235,200円
25歳  178,700円
45歳  252,700円
30歳  199,200円
50歳  268,700円
(4)パート(時間給)労働者の賃上げ
 時 給    50円以上
(5)企業内最低賃金
 短時間パートをふくむ、すべての非正規雇用労働者を対象とする。 
月 額
    155,700円
日 額
     7,200円 (時間額×8 H)
時間額
      900円 (月額÷173 H)
  (40時間×52週÷12カ月=173時間)
3.要求困難・合理化を抱えている職場の取り組み
(1)要求をすべての職場(支部・分会)で組織していくことが基本であるが、現在経営困難に直面している職場、経営問題に端を発しての合理化問題を抱えている職場など要求提出が困難な職場が広がりつつあるのも現実である。だからといって、経営側の提案に対する防御だけで労働組合としての役割りが果たせるのかといったらそうではない。
 要求提出を最初からあきらめてはならない。
 @経営実態の事実を先ず開示させることが前提である。決算書、財務諸表の開示が正確で透明性がなければ、「困難」を理由として、労働組合の権利を剥奪し放棄をせまるもの以外の何ものでもない。Aその困難性は何に発しているのか。親企業や取引先からの単価引き下げ、売上の減少、同業他社とのダンピング競争激化、アジア製品との競合など売上と単価に要因があるのか、B売上減少よりもメイン銀行からの融資条件での経営危機やリストラ強要はないのか、など組合として情報と要因分析を行う中で、賃金引き上げが困難と判断しても、労働諸条件の引き上げなど、その他の要求づくりを取り組んでいくこととする。
(2)経営困難な職場こそ、退職金の保全措置は万全なのか、また合理化に関する事前協議・同意約款の点検と協定化の取り組み、さらには今後の経営展望を検証するなかで、労働組合としての提言、さらには経営環境が改善された時点での回復措置や改善の保証など取り組むべき課題は多い。これらの取り組みを組織する中で、春闘全体の戦線(地本・地域共闘)に参加し、春闘を闘っていく。
4.労働時間短縮の取り組み
(1)年間総労働時間1800時間の短縮の早急な実現をめざしていく。そのために分会段階での現状を点検し、計画的に時間短縮をすすめるため要求を組織していく。とりわけ、賃金不払いのサービス残業が横行する中で、連合はサービス残業撲滅、「ノーペイ・ノーワーク」運動を提起している。したがって、全国一般統一要求を基本に所定労働時間の短縮と時間外労働の削減、年次有給休暇日数の引上げと完全消化を取り組む。
(2)すべての職場から年間360時間を超える残業協定をなくしていく。安易な特別条項つき36協定の締結はしないこととする。
(3)時間外労働の削減、年休取得率の向上のため、その障害となっている残業しなければ生活できない低い賃金の改善、さらには職場の要員確保など条件整備が肝要であり、その取り組みをすすめていく。また、時間外割増率の基礎となる分母についても点検闘争を組織していく。
(4)日給を基本とする賃金制度から月給制を基本にすすめる。また出来高給が実施されている場合は、固定給の割合を高めていく。また、パート労働者など時給労働者の賃金引き上げも合わせて取り組んでいく。
 変形制は労働者に不規則労働を強い、残業代がカットできるなど経営側にとって都合のよい制度であり、変形制の導入には反対していくことを基本とする。導入する場合には、今後の時短計画を明らかにした上で、労使合意事項として取り組んでいく。
5.定年延長・退職金確保の取り組み
(1)厚生年金支給年齢の65歳への引き上げにともなって、60才以降の雇用継続が切実な課題となっている。全国一般調査でも職場の改善課題では定年年齢の引き上げと退職金の増額は根強い要求がある。このような中で、定年制の年齢引き上げを基本として、雇用継続も含め60歳以降65歳までの雇用継続を要求していく。その場合、60歳到達時賃金に比しての水準の設定については柔軟に対処するなかで雇用継続を実現していく。ただし、経営者が選択権をもつのでなく、労働者本人の「希望者全員の雇用」を原則として雇用を取り組んでいく。なお、この取り組みの中で高年齢雇用継続給付金など制度活用を行う中で、制度の充実をはかっていく。
(2)全国一般退職金調査では、勤続30年/36歳で平均916万円、第1四分位で436万円、第9十分位1,447万円と3倍の開きがある。中小企業の退職金は高卒で大企業のほぼ8割の水準と発表されているが、大企業の30年(48歳、高卒生産男子、会社都合、実在者退職金)の1,460万円と比較すれば、大きな格差の現実にある。公的年金制度改悪で年金の支給水準が低下し、退職後の生活に果たす退職金の重要性は益々強くなっている。
 退職金増額協定の取り組みを、自己都合勤続1年につき1カ月分、会社都合は倍額を基本に金額の水準引き上げを進める。同時に、確実な退職金保全の観点と掛け金の国の一部助成や税法上で非課税となる、企業にとっても有利な中退共(中小企業退職金共済制度)への加入で、過去勤務10年間の遡及手続きを活用した取り組みをすすめる。
(3)賃金や仕事を通じ個々の労働者が分断化される状況にあって、組合員ひとり一人の様々な要求を大切にする「プラス1」運動は、組合の存在と団結強化をめざす活動としてますます重要になってきている。組合活動にともなう権利(組合掲示板、時間内組合活動の保障、組合休暇など)の拡充と職場討議などの具体的な職場活動の展開で、「プラス1」運動の取り組みをすすめる。
6.反失業、職場・雇用を守る闘い
(1)職場と雇用をまもるためにも日常の活動強化が原点である。現行の労働協約の点検活動をすすめ、合理化・労働条件について「事前協議、同意約款」の協定化をすすめていく。
 全国一般調査でも労働協約において、解雇・希望退職、配転・出向、一時帰休について約半数の職場が未協定となっている。全国一般統一要求を基準に協約化を取り組んでいく。
(2)情勢でも明らかなとおり金融機関の貸し渋り・貸しはがし、企業の再編・分割時における労働条件の引き下げや労働者の権利剥奪、親企業からのコスト削減・単価の切り下げ、売り上げの減少などによって、経営危機、企業倒産が増加する情勢にあるだけに、日常的な交渉、労使協議の場で企業の経営状況、今後の経営計画について報告を求め、組合として企業動向をチェックしていくことが必要である。
(3)「新時代の日本的経営」(1995年)、「多立型賃金体系」(2002年)など経営者団体は、総額人件費管理や賃金の個別化・成果主義賃金政策を打ち出し、人件費抑制政策を強めてきている。それは、単に賃金引下げという現象だけでなく、正規雇用労働者に代えてパート労働者、アルバイト、臨時労働者への置き換え・不利益変更や派遣労働者への転籍か退職を迫るなどの攻撃が大手企業から中小企業まであらゆる産業・業種で強まっている。
 労働条件の不利益変更は労組との合意事項であり一方的にはできない。その原則を踏まえ取り組みをすすめていく。
(4)雇用に係わる課題や不利益変更の提案があった場合には、職場独自の判断ですすめることなく、地本に連絡し地本・分会(職場)が一体となって対策をたて取り組んでいく。組合つぶしを狙いとしての指名解雇、不当解雇などリストラ攻撃に対しては、地本全体で支援体制を築き、厚い支援体制を築くなかで取り組んでいく。
7.政策・制度の取り組み
(1)デフレ経済を脱却し、景気回復に向けた政策転換と労働者犠牲を促進する規制緩和やリストラ策を防止し、雇用創出・安定のセーフティネットを充実させ、中小企業労働者政策の追求を2003春闘で取り組んでいく。景気の回復、雇用の維持・創出、失業者支援の抜本強化、中小企業基盤の強化、社会保障基盤の強化など消費拡大策、およびデフレ防止策を求めていく。
(2)労働政策審議会労働条件分科会で@解雇ルール、A有期雇用の拡大、B裁量労働制の拡大と弾力化が焦点となっている。解雇について「正当な理由」のない解雇は解雇権の濫用として無効となっているが、整理解雇四要件の明文化がなされていなく不十分さを残している。しかも、問題なのは解雇無効の場合に労使双方が金銭解決できる制度である。敗訴した使用者側からの申し立ては断固として阻止しなければ「金さえ払えば解雇できる」ことに実質的になってしまう。
 選択肢の拡大という美名の下で、有期労働契約の原則1年を原則3年に延長する案が示されているが、有期雇用の拡大は「安上がり」「雇用調整(いわゆる実質的な解雇)が容易」が大きな理由であるなかで広げることは、若年定年制への道をひらき常用雇用代替をもたらす、「退職の自由」の規制と損害賠償の発生など問題が多く均等待遇原則の確立されない中での拡大を認めることはできない。
 時間管理からはずす裁量労働制の簡素化もサービス残業が横行する中では、長時間労働の合法化につながるものだけに、簡素化は問題が多い。
(3) 仕事と家庭の両立をはかるために、育児や介護などの社会化をはかり、子供を産みたい人が安心して産み育てやすい環境を整備する。
(4)税制改革では、消費税の益税など不公正税制を是正し、勤労所得税の増税を許さない公平な税制改革を実現する。
(5)公正取引の確立にむけて、公的機関と民間会社との契約に関し民間雇用労働者の労働条件を確保するILO94号条約(公契約における労働条件)の批准、独禁法の運用強化と下請代金法の抜本改正、下請振興基準の適用拡大などで中小企業の育成強化にむけた取り組みをすすめる。
(6)地方自治法施行規則の改正を求め、最低賃金を下回る価格設定の一掃、公正競争の確立をはかっていく。また地場中小企業への優先的発注の実現、ILO94号条約「労働条項(公契約)」を批准し自治体など公契約で働く関連労働者の権利向上に取り組む。
(7)経営危機、倒産増のなかで長年働いてきた退職金、賃金の未払いが広がっている中で労働債権確保も十分でない。倒産の事態にいたっても労働債権の確保ができるようにするため速やかな支払を保証するシステムの改善と賃金立替払い金額の一層の増額など制度の拡充を求めていく。あわせてILO173号条約の批准を要求していく。
8.平和・民主主義を守る取り組み
 高支持率を背景にした小泉政権は、聖域なき構造改革で中小企業や労働者に犠牲を強い、一方で供給側(サプライサイド)強化ということで不良債権処理や競争政策を次々と打ち出している。この流れは、経済的側面だけでなく政治的側面では、ブッシュ政権のアメリカ一国優先主義(ユニラテラリズム)に追随し、国民を戦争協力に駆り立てる有事法制案の成立に執念を燃やしている。また8月には住民基本台帳ネットワークを強行運用させ、「不保護法案」と言われる「個人情報保護法案」を再度国会に提出しながら、国家による個人情報の一元的管理・国民の総監視体制、国民総動員体制づくりをもくろんでいる。さらには憲法改悪をも射程に入れてきている。とりわけ、イラクへの国連査察が行われるなかで、アメリカの空爆は緊迫しつつあり、そのための自衛隊の協力がすすめられてきている。
 このような緊迫する国際情勢のもとで、イラク空爆反対、平和の追求する取り組みを全国一般は重視して取り組んでいく。具体的には、平和フォーラムの提起する運動や他の産別と連係を強めながら課題ごとに積極的に取り組んでいく。
 同時に本年4月の統一自治体選挙、予想される総選挙においては中小労働者を代表する組織内候補者の必勝体制づくりをすすめていく。