2002年11月25日

パート労働者の待遇改善・均等待遇の実現を


 労働省の審議会では「選択肢をひろげる」という美名のもとで有期雇用労働者の1年から3年への延長が事務局案としてしめされているが、今でさえ『パートタイマー』、『契約労働者』、『アルバイト』など期限を定めて雇用される労働者は増大の一途である。この大きな理由は『安上がり』『雇用調整が容易』ということである。これらの有期雇用労働者にとって正規雇用労働者との均等待遇が切実な課題である。東京新聞の『社説』(2002/11/01)では、最低でも時給1000円を提言。また佐賀新聞の『論説』(2002/09/20)でも「正社員との格差を残したままでは貧しい雇用を拡大するだけになる。このままでは労働者の雇用全体が破壊されるとの指摘さえあり、社会の安定化にも影響を与える。使用者の事情だけを優先してもらっては困る」と提言している。パート労働者の待遇改善は、すべての労働者の共通した取り組みとしていく必要がある。

東京新聞2002年11月1日 社説
− パート旬間 『自立』できる賃金を −

 「パートタイム労働旬間」が(11月)1日から始まる。政府は急増するパートと正社員との処遇格差を是正するために、公正なルールづくりを進めているが、地域の最低賃金の改善も求められる。
 厚生労働省が発表した2001年「パートタイム労働者総合実態調査」によると、正社員以外の「パート等労働者」は約1,118万人で6年前より320万人増えた。
 この数は全労働者の3.8人に1人の割合で、働く女性の4.5割、男性も20代を中心に1割強を占めている。パートは「都合のいい時間に働ける」のが魅力だが、最近は「正社員で働ける会社がない」ためのパートが目立ち、男性ではこの理由が6年前の2倍になった。
 経営者の多くは人件費削減のためにパートを採用する。最近は正社員がしていた基幹の仕事をするパートも珍しくない。にもかかわらず、正社員との処遇差は開く一方だ。パートの処遇改善は、生活不安を解消するためにも緊急の課題といえる。
 パートの処遇などを研究していた厚生労働省のパート労働研究会は、7月の最終報告で、法制化を視野に入れた「均衡処遇ルール」や短時間社員への転換の道を開くことなどを掲げた「ガイドライン案」を示した。今後は年内をめどに労働政策審議会で対応を検討するという。ぜひ「年内」に結論を出してほしい。
 「パートタイム労働旬間」中は「均衡処遇 パートが活きる 企業が伸びる」を標語に掲げ、7月に出した研究会報告の普及にあたる。均衡ルールは、正社員とパートが同じ仕事なら「合理的理由」のない限り処遇を合わせ、異動などに違いがあれば8割にする、などとしている。
 しかし、パートの7割はもともと、正社員とは異なる仕事しか持たされていない。このままでは多くのパートは、安い賃金の補助的な仕事に固定されかねない。
 「フルに働いても月10万円」の人が多い。パートの賃金は仕事や技能より、地域の賃金相場で決まることが多いが、パートでも自立できるように、せめて最低賃金を時給1,000円、月15万円にすべきではないか。
 研究会報告は均衡処遇について、「雇用システム全体の見直しを」と指摘している。どんな働き方でも、自立できる収入が得られなければ、子どもを安心して産めないし、リストラ不安もなくならない。
 現在、法制化を望む労働側、ガイドラインも必要なしとする使用者側で意見の開きがあるが、不安定なパートを励ます対策が必要だ。

佐賀新聞 2002年9月20日 論説
− パート労働者増加 ≪待遇の格差是正が急務≫ −

 厚生労働省が発表した「2001年パートタイム労働者総合実態調査」で、「パート等労働者」は1000万人を突破したことが分かった。労働者全体の実に4人に1人という割合である。正社員との格差の問題に政労使、それぞれが本腰を入れる必要に迫られている。 ここでいう「パート等労働者」は、正社員以外の労働者と定義される。アルバイト、嘱託などを含み、派遣社員を含まない。 調査によると、前回1995年調査と比べ約320万人増えて約1,118万人となった。全労働者の26.1%を占めている。前回が17.8%だったのに比べると、この6年間で大きな増え方だ。

男性の割合も9%
パートとして働いている理由(複数回答)をみると雇用情勢の厳しさが垣間見える。男性で「生活を維持するため」が最も多く、62.6%を占めていることにそれが現れている。前回調査は46.3%だった。「家計の足しにするため」が59.6%と最も多い女性に比べ、生計を担う切実さが目立つ。
男性労働者に占めるパートの割合も9%となり、前回調査から1.6倍に増えた。「正社員として働ける会社がないから」パートについた男性の増加も目立つ。
雇用主に聞いたパートを雇用する理由(同)は「人件費が割安だから」が前回の38.3%から65.3%へ27ポイントも急増してトップだった。
雇用期間を決めているところ、これから決めようとするところも多い。有期雇用は「雇用調整がやりやすいから」だ。パートを雇用する事業所は56.6%で8.7ポイント増えた。
正社員からパートへの置き換えが急速に進んでいることが分かる。パートはいつでも解雇できる、しかも安く使える要員として導入していることが顕著である。
パートなど時間を基準としない雇用は、多様な働き方を確保する意味で重要になってくる、との指摘は理解できる。価値観が多様化した現代においてはそうだろう。働く側からのニーズもある。
しかしながら現状のパート労働者はフルタイマーの正社員に比べ同じような仕事、貢献をしているにもかかわらず時間当たりの賃金は相当安い。しかもこの数年、格差は拡大傾向にある。

雇用全体の破壊も
中には年間2,700時間働かなければ生活保護並みの給与が得られない女性パート労働者もいるのが実情だ。
今回の調査で今の会社や仕事に対して不満・不安があるパートの割合は54.3%で前回の41.2%からかなり上昇した。不満・不安の内容は「賃金が安い」が最も多く「雇用が不安定」が続いた。
中央最低賃金審議会は、2002年度の地域別最低賃金について、現行水準の維持を基本とするとの公益委員見解を答申した。事実上、引き上げゼロとする見解で、パート労働者の賃金に影響が及ぶのではないかと懸念する。
小泉構造改革で雇用期間を限る有期雇用の拡大策が進められている。IT革命の進行とデフレ不況でパート労働者や有期雇用は、この先も増加は収まりそうもない。
その結果、不安定で劣悪な労働が拡大するのでは働く側はたまらない。有期雇用の拡大は期限がくれば必ず解雇、失業が待っている人が増えるということだ。
正社員との格差を残したままでは貧しい雇用を拡大するだけになる。このままでは労働者の雇用全体が破壊されるとの指摘さえあり、社会の安定化にも影響を与える。使用者の事情だけを優先してもらっては困る。(上杉芳久)