2002年8月25日
鳥取県米子市「皆生グランドホテル」

全国一般は、8月25日から3日間の日程で第56回定期全国大会 を鳥取県米子市で開催。

中央執行委員会を代表して田島委員長は下記の挨拶を行った。


 職場・地域に根ざした合同労組運動の地平を切り開き
 職場の仲間の期待に応える全国一般運動を総力あげて取り組もう

 第56回定期大会に代議員をはじめとする参加者の皆さんご苦労さまです。
 また、本定期大会にお忙しいなか激励のためにご列席いただきました草野連合事務局長、重田連合鳥取会長、社民党土井党首、民主党山内議員、平井鳥取県副知事、森田米子市長、鷲尾全労済理事長をはじめご来賓の皆さん、お忙しい中遠路駆けつけていただき激励を賜ることに対し全国一般を代表して感謝申し上げます。

 21世紀に入って日本社会は迷路に入ってしまった感があります。最低のモラルさえ失って利潤追求に走る経営者、その企業不祥事にチェックできない労働組合、この「双子の関係」が今日の日本社会の矛盾の象徴といえます。「双子の関係」というのは、企業に依存する労働組合・労働者であって良いのかという企業内労組主義の問題です。かつては企業の繁栄がそこに働く仲間の賃金や労働条件の向上に結びついていましたが、グローバル経済、市場経済の強まりのなかで、今日では企業が競争に勝つためにリストラという名の労働者のクビが実質的に切られ、賃金や労働条件が切り下げられてきています。その結果はどうなっているのでしょうか。失業者・失業率は相変わらず高水準で推移し、それに比例するがごとく増える自殺者やローン破産者、凶悪な犯罪の多発など社会的な不安と焦燥感がひろがるなかで、人間としての社会的連帯性が失われ、孤立化していることがこのような事件の多発を生み出しているともいえます。
 このような事態を直視したとき、労働組合のなすべき課題は明らかであるにも係わらず労働組合の影が薄いのが現状です。否、影が薄いからこそこのような事態が進行しているといえます。倫理に反した企業行動の問題は雪印や日本ハムだけではありません。次々と労働基準監督署から摘発をうける名だたる大企業の不払い残業(いわゆるサービス残業)の実態にみられるように最低規制として存在する労働基準法さえ無力化しているのが今日の企業社会の現状です。全国一般は、電話で、インターネットで労働相談活動を取り組んでいますが、そこでの相談状況は大変深刻なものがあります。経営者の都合で一方的に解雇された。正社員からパートや契約社員に切り替えられた。経営が厳しいからと一方的に賃金を引き下げられた。妊娠していることを告げたら退職を強要された。経営危機のなかで賃金が支払われていない、など働く者の権利がないがしろにされている結果が、失業率は5%、失業者数300万人という実態なわけです。
 このような現状を改善するのでなくより加速させるのが、小泉政権の「聖域なき構造改革」です。この小泉改革の本質は、経済のグローバル化のなかで「サプライサイド強化」であります。「サプライサイド」とは、大手の金融機関や企業のことであり、大手企業を強めるために、中小企業と働く者に痛みを強いてきています。中小企業では、必死にがんばっても如何ともし難い不条理な事態が広がっているのが現状です。労働法制の側面でもサービス残業をなくすために法令を遵守させるのでなく、サービス残業という概念をなくす裁量労働制の拡大、不当解雇をなくすために整理解雇4要件の遵守でなく不安定な雇用でいつでも首を切れる有期雇用や派遣労働の拡大、さらには解雇をしやすくするための解雇ルールづくりが規制緩和政策として閣議決定され、すでに厚生労働省の労働政策審議会での検討がはじめられています。連合は、整理解雇4要件に基づいた解雇規制法実現など労働法制の改悪に反対の方針を確立していますが、全国一般も連合の一員として働く者の権利拡充の取り組みをすすめ、これまでの長い歴史の中で闘いとった労働者の権利を剥奪する「構造改革」には断固として反対し、闘っていく決意でいます。
 小泉政権の危険性は労働者と中小企業に痛みを強いる構造改革だけではありません。憲法で武力行使を禁じているにも係わらず、それに反しての有事立法は憲法否定・改悪の道でしかありません。昨年9月11日のニューヨークでテロ事件以後、米国・ブッシュ政権は「暴力による報復の連鎖」の政策に突き進んでいます。テロそのものは糾弾されなければなりませんが、同時に米国の一国繁栄主義(ユニラテラリズム)による「暴力による報復の連鎖」政策にも断固反対していかなければなりません。米国の戦争政策に加担していく体制づくりが、テロ対策支援法では自衛隊の海外派遣がなされ、さらに小泉政権が執念を燃やしているのが憲法で禁じている集団自衛権の行使に踏み込む有事法制です。「国を守る」という名で国民の権利が侵害され、米国の戦争政策に加担する「戦争ができる国づくり」に狙いがあります。戦前の戦争政策に協力した労働組合の苦い教訓をいまこそ思い起こし、平和の砦としての労働組合運動の追求し、こころある多くの労働組合や団体と共同・連携して闘っていくことを代議員の皆さんに強く訴えたいと思います。

 次に春闘に触れていきたいと思います。
 ナショナルセンターである連合がベースアップ分を「プラスアルファ」として実質的に産別組織に要求基準づくりを委ねたなかでの2002春闘結果はどうだったのでしょうか。労働組合側が、連合のもとで一丸となることなく企業事情・産業事情での要求での足並みの乱れがあったのに対し、経営者側は日経連の労問研報告に沿って、産業や企業事情に係わりなく、これまで春闘相場形成に大きな役割を発揮し、今期も史上最高の収益を上げた企業でさえベアゼロでの決着や大手メーカーでの相次ぐ賃下げ、定昇延期はその後につづく中小労働者の闘いに重くのしかかり、経営側は「ベアゼロ、賃金引下げ」を横並びで対応してきたことに2002春闘の最大の特徴点であり、今後の教訓といえます。したがって、2002春闘を踏まえるならば、連合は要求基準を放棄することではなく、標準労働者の要求水準を示し、そこへの到達に向け要求基準を提示し、総がかりの闘争体制づくりこそ求められているといえます。2003春闘に向けては、自らの賃金実態を明らかにするなかで格差の是正・生活改善の視点にたって、中小労働者、地場企業労働者自らが堂々と「上げ幅(賃金引き上げ)」要求を組織し、相場の形成を成し遂げていく意気込みをもって取り組んでいかなければなりません。そのためには企業別や各産業別組織それぞれが自己完結することなく地域での共同闘争を一歩ずつ追求していかなければなりません。中小労働者を組織する全国一般はそのための行動提起を中央・地方で担っていく決意で来春闘に臨んでいきたいと思います。低い水準に置かれている中小労働者、地場企業労働者にとって賃金引き上げは切実な課題であり、組合員の要求は根強くあるのが事実です。職場の組合員の期待に応える運動の取り組みは労働組合としての責務であるといえます。
 同時に重要なのが最低規制・ミニマムの取り組みです。連合内においても春闘改革にあたり、ミニマム規制の強化が語られています。中小企業では大手企業・親企業からの発注単価の引き下げ圧力、アジア製品の輸入拡大による価格破壊現象、中小企業の過当競争体質からくる価格下落という三重苦におかれています。そのようななかで、賃金・労働条件の引き下げが様々な業種・業態に現れている事態にあたり、労働者に一方的に犠牲を強いる雇用合理化や労働条件引き下げには断固として闘っていくとともに制度的な取り組みがますます重要になっています。賃金ミニマムでは生活をクリアすることが最低条件であり、それは法定最低賃金であります。今日の地域包括最低賃金では、目安が示されず17の県で1円が引き上げられたにすぎません。大手企業でさえ地場賃金の低下を理由にして賃下げ攻撃が強められているなかで、中小企業においても多くの職場で賃金引下げなど不利益変更の圧力が強まっている現実が広がりつつあるなかで、いまこそ生活賃金を基礎とした全国最賃の確立が求められているときはない、と指摘できます。

 最後に全国一般の組織課題についてです。
 企業別の枠を越えて地域に団結する合同労組運動を基調とする全国一般の運動が一部の役員・活動家任せであれば、その組織の前途は大変きびしいのが中小労働運動の現実であります。専従者や役員の献身的な活動はこれまでも、これからも大切ですが、それに甘んじることなく、職場組合員も参加しての組織運動を展開するなかで、強大な地方本部、全国一般の確立がきわめて重要となっています。今日、あらゆる企業が正規雇用労働者を減らし、代わってパートタイム労働者、契約労働者、派遣労働者など有期雇用の非正規雇用形態で働く仲間が増えてきています。これらの仲間の組織化はあらゆる形態で働く仲間を組織している全国一般の任務であり、企業別労組にない合同労組を基本とする全国一般の優位性を全体で確認してきています。しかし、全国一般の現実を直視したとき組織的課題は山積みしているのが現状です。労働相談は活況を呈しているが、なかなかすすまない組織化、一方、中小企業の経営危機が広がる中で倒産・閉鎖もあり組織の減少となっています。この組織の減少の要因は何なのか、組織化がすすまない要因は何か、これらの課題について本定期大会の場で掘り下げた討論を要請することを強く訴えます。このまま、惰性的に全国一般運動が推移するなら全国一般の将来はない、と言えます。組織的危機感をお互いにもちながらも、「中小労働運動の火を消すな!」という意気込みを持ち、確信をもった運動づくりと、それを指導する新しい強力な執行部体制の確立が本定期大会の大きな課題といえます。
 この間、昨年度から開校したオルグ養成研修会には、延べ100名余が参加し、全国一般運動、労働運動の基本について学習と研鑚を深めてきました。また、春闘期の集中オルグの実施、統一課題によるブロック会議の開催など五役会議・中央執行委員会を軸に集団指導体制のもと全国一般運動・合同労組運動の豊富化を追求してきました。
 全国一般の自立強化を全組織が総力をあげるとともに、職場活動を基礎に中小労働運動、地域共闘、平和と民主主義闘争をしっかり闘える組織展望を全国一般として追求してことが必要です。組織的確立なくして全国一般の将来はありません。本大会での真摯な討論を要請するものです。

 最後に、本大会の設営にあたって鳥取地方本部をはじめ中国ブロックのみなさんのおかげで開会することができました。大会終了までご面倒をおかけすると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
 このご苦労に報いるためにも、大会参加者の皆さんの熱心な討論で大会を成功させていただくことをお願いし、中央執行委員会を代表してのご挨拶とさせていただきます。 ご清聴ありがとうございました。