2001年8月26日
山形県天童市「天童ホテル」

全国一般は8月26日から三日間山形県天童市で第55回定期全国大会を開催

大会にあたって田島中央執行委員長のあいさつ全文は下記のとおり。



働くものの尊厳を確立し、誰もが安心して暮らせる社会を築くために
社会正義と公正を追求し、新たな合同労組運動の再創造をとりくもう

 第55回定期大会に代議員をはじめとする参加者の皆さんご苦労さまです。 また、本定期大会にお忙しいなか激励のためにご列席いただきました鷲尾連合会長、田村連合山形会長代行、民主党横路副代表、高橋山形県知事(金森副知事)、遠藤天童市長をはじめご来賓の皆さん、さらには、社民党の渕上幹事長も午前中のNHK日曜討論が終了次第かけつけていただく予定ですが、お忙しい方々であるご来賓の皆さんに全国一般を代表して感謝申し上げます。

 こんにち日本社会は閉塞状況に陥っているといえます。失業率の高まり、増える自殺者数、いたいけな子供たちが親から虐待を受ける事件など、すさんだ事件が相次いでいます。社会的な不安と焦燥感がひろがるなかで、人間としての社会的連帯性が失われ、孤立化していることがこのような事件の多発を生み出しているともいえます。
 報道によれば今月末に発表される失業率は5%台に乗るといわれています。かつては2%前後で推移してきた経過をみればこれは大変なことといえます。小泉政権の「聖域なき構造改革」は、中小企業と働く者に痛みを強いる構造改革といえます。事実、小泉総理は失業率の高まりの報道を受けて「さらに失業者が出てもやむをえない」と語っています。現状でも失業者数330万人を数え、その三分の一は自らの意思でなく、経営者の都合で辞めざるを得なかった労働者です。このように危機的にある雇用実態にあるにもかかわらずにこの発言です。小泉政権のセーフテイネット(安全網)は、失業を前提としたものであり、雇用の安定に背むくセーフテイネット論と言えます。事実「骨太政策」では、不安定な雇用でいつでも首を切れる有期雇用や派遣労働の拡大を打ち出しています。小泉改革は、市場優先主義にもとづく労働者にイタミを強いるものであり、これまでの長い歴史の中で闘いとった労働者の権利を剥奪する「構造改革」には断固として反対し、闘っていかなければなりません。

 同時に重要なのは労働組合としての社会的責務の課題です。労働者が職を失うということは大変なことであるにもかかわらず、大手企業での希望退職募集に組合員が殺到することが度々報道されています。例え退職条件が良くとも、職場を見限るということは大変なことであり、この現象を真剣に捉え返すことが労働組合運動に携わるものの責任といえます。退職した仲間も今後の生活は大変ですが、残された仲間にとっては労働負荷が増え、有休休暇の取得もままならない、サービス残業しなければ追いつかないという状況さえ生まれています。職場の仲間が安心して働きつづけられる職場づくりは、労働組合運動の原点であります。
 労働組合に関わるものにとってもう一つ真剣に考えなければならないのが、労働組合に頼ることなく個人的に反乱する個人紛争が多発してきていることです。全国一般の各地本が取り組んでいる労働相談活動でも、「日本に労働法規があるのか」と思われるほど労働相談が寄せられています。「一方的に首を切られた」「合意もなしに賃金が下げられた」「正社員からパートに切り換えられた」など事例には事欠かないのが実態です。そこに共通するのは、働くものの人間としての尊厳さえ踏みにじられている事例があまりにも多いことです。中労委委員を担っている松井顧問(前中央執行委員長)をはじめ各地の地労委委員を務めている各級役員が全国一般労委労協を構成し、その英知を結集して「個人紛争処理についての提言」をしています。皆さんのお手元に資料として入っていますので是非ご精読をお願いしたいと思います。個人紛争の多発化は、労働組合運動が及ぼす活動領域が不十分であることの裏返しでもあるわけですから、この問題を真剣に考えて日常活動、組織化運動を取り組んで行かなければなりません。

 小泉政権の危険性は労働者と中小企業に痛みを強いる構造改革だけではありません。靖国神社への参拝、集団自衛権、憲法改悪発言に象徴される平和と国民にとってきわめて危険な政権であります。しかし、閉塞感が高まるなかで登場し異常な人気のもとで参議院選挙が7月に戦われました。私たちが支持し、支援してきた民主党・社民党は躍進を果たすことが出来ませんでした。「改革を競う」「小泉総理の骨を拾う」として改革に対抗軸を打ち出すことが出来なかったことが民主党の停滞の大きな要因であるといえます。小泉改革や靖国神社参拝などその問題点をしっかりと批判していく民主党のこころある議員の皆さんの奮闘を期待してやみません。また、例え国会議員数では少数となっている社民党の労働者の立場にたった諸政策、平和を追求する社会民主政策は、日本社会になくてはならない勢力であり、国際的にも、とりわけヨーロッパでは社会民主政策が主流となっていることに確信をもって今後の奮闘を期待するものです。ともあれ、労働組合の立場で組織点検を含め真剣に選挙総括をすすめていく決意でいます。

 次に春闘再生と全国一律最賃の課題に触れていきたいと思います。

 連合が改革元年と位置づけた2001春闘は、全国一般の組織はもちろん多くの中小労働者にとって、かつてなく困難を強いられた闘いでありました。この春闘についてしっかりと総括することが今後の闘いにきわめて重要であると思います。春闘は、総合労働条件の改善の取り組みですが、その中心軸は賃金闘争であることをここで確認をしたいと思います。その賃金引き上げ要求も主要な大手労組の要求表示では純ベア(ベースアップ)分の表示のため、定期昇給相当分(いわゆる賃金カーブ維持分)が実質的に影に隠れてしまい、定期昇給制度のない中小企業労働者や非正規雇用労働者の賃金引き上げへの連結が断ち切られるという問題が明らかになってきています。したがって、賃上げゼロや経営者側の逆提案にあって賃下げを余儀なくされた職場が増えるなど、相場が喪失し格差が一層加速される構造となってきています。この現実を直視し、02春闘に向けては、自らの賃金実態を明らかにするなかで格差の是正・生活改善の視点にたって、中小労働者、地場企業労働者自らが相場の形成を成し遂げていく意気込みをもって取り組んでいかなければなりません。そのためには企業別や各産別それぞれが自己完結することなく地域共闘を追求していかなければなりません。中小労働者を組織する全国一般はそのための行動提起を中央・地方で担っていく決意で来春闘に臨んでいきたいと思います。低い水準に置かれている中小労働者、地場企業労働者にとって賃金引き上げは切実な課題であり、組合員の要求は根強くあるのが事実です。同時に重要なのが最低規制・ミニマムの取り組みです。連合内においても春闘改革論が花盛りですが、その主張で共通するのはミニマム規制の強化・引き上げがあります。いま、中小企業では大手企業・親企業からの発注単価の引き下げ圧力、アジア製品の輸入拡大による価格破壊現象、中小企業の過当競争体質からくる価格下落という三重苦におかれています。そのようななかで、賃金・労働条件の引き下げが様々な業種・業態に現れている事態にあたり、労働者に一方的に犠牲を強いる雇用合理化や労働条件引き下げには断固として闘っていくとともに制度的な取り組みがますます重要になっています。

 今日、あらゆる企業が正規雇用労働者を減らし、代わってパートタイム労働者、契約労働者、派遣労働者など有期雇用の非正規雇用形態で働く仲間が増えてきています。これらの仲間の賃金引き上げを2001春闘ではじめて連合は取り組んできました。
 また、ミニマム闘争の基軸となるのが法的規制としての最低賃金の闘いであります。この最賃闘争について全国一般は生活賃金を基礎としたあらたな全国一律最賃の方針を本年度の運動方針で提起しています。方針案でも明らかなとおり、交通網は発達し通勤圏は同一県にとどまりません。21世紀に入っても県が違うからと最賃額を変えなければいけない時代ではありません。さらにはアジア製品との競合時代に県単位での最低賃金額設定もないだろうと考えます。しかも、1975年の労働4団体が当時の野党と協力して全国最賃確立を取り組んできましたが経営者側の抵抗も大きく、時期尚早ということで廃案になってから四分の一世紀を越え、すでに21世紀を迎えています。この間、中央あるいは各地の最賃委員の奮闘で地域最賃は引き上げられてきましたが、最賃の根本である「生計費原則」は遠くに追いやられ、支払い能力論による目安引き上げ幅論議が中心となり、大衆的な運動がもりあがっていないなかで、結果として影響率も低下を続け2%を切る水準に至っています。
 ミニマムについてアメリカのナショナルセンターAFL-CIOの取り組みに学んで自治労はリビング・ウエッジ(生活賃金条例)の運動を提起しています。最低賃金では生活できない現実から生活を維持できる賃金を公共サービスに携わる労働者に保障せよ、という取り組みですが、このリビング・ウエッジもすべての労働者を包含する生活費をクリアする全国一律最賃が制度的に保障されてこそすべての労働者の共感を得る運動であるといえます。
 今日、デフレ圧力が強まるもとで企業を分社化して賃金30%カットなど賃金・労働条件を引き下げての再雇用が先端産業や大手企業で広がってきています。この賃金切り下げ時には「地場賃金」水準との比較が出される傾向にあります。加えて公務員賃金が民間賃金準拠による人事院勧告が定着してきていますが、公務員制度改革も狙いに公務員の賃金・労働条件の引き下げがあります。したがって、官で働く仲間もあるいは民間大手でもすべての労働者が一丸となって取り組むべき課題が、地場賃金の引き上げと最低賃金闘争といえます。連合も春闘改革にあたってナショナルミニマムの重要性を提起しています。多くの勤労国民に共感を得る最低賃金闘争を一丸となって取り組むことは、既存の労働運動の活性化にも結びついていくものであると確信するものです。

本年の定期大会で「新たな合同労組運動の再創造」を提起しています。本日来賓としてご臨席いただいている鷲尾連合会長は、8月はじめに開かれた連合トップセミナーで「日本の労働組合運動の弱点は企業別労働組合主義の呪縛にある」と指摘され、労働組合運動の企業別意識からの脱却を強く訴えておられました。まさにその通りあり、これは企業別の枠を越えて地域に団結する合同労組運動を基調とする全国一般の組織にとっても他人事ではありません。合同労組といっても実態は中小労組の連合体であったり、あるいは正規雇用労働者だけの組織にとどまっている職場組織もあります。今日、非正規雇用といわれるパート、契約など有期雇用労働者や派遣労働者が職場に机を並べて一緒に働いているのが現実であり、これらの仲間の組織化はもとより、労働相談活動を一層強化させるなかで組織の強化・拡大を取り組んでいかなければなりません。全国一般が専従者依存であったり、あるいは一部の役員・活動家任せであれば、その組織の前途は大変きびしいのが中小労働運動の現実であります。専従者や役員の献身的な活動はこれまでも、これからも大切ですが、それに甘んじることなく、職場組合員も参加しての組織運動を展開するなかで、強大な地方本部、全国一般の確立がきわめて重要となっています。本年5・6月には全国一般として東西2か所でオルグ養成研修会を開催してきました。「勉強になり良かった」と多くの参加者が答えています。今後の全国一般運動の担い手の育成は喫緊の課題であり、本年度もひきつづき取り組んでいくことといたします。
 加えて、全国一般本部も先進的な地方本部の取り組みに学んで昨年7月にはホームページを立ち上げ、本年7月には労働組合としては初めてであると思いますが「iモード版ホームページ」も開設し、地本のホームページやEメールとリンクして労働相談ネットワークを構築し、労働相談・組織化活動に生かしてきています。これらの活動を全国一般組合員が一丸となって取り組むなかで、強大な全国一般をつくり上げて行かなければなりません。

 最後に、本日来賓としてご出席いただいている鷲尾会長は、10月の連合第7回大会で勇退されることとなっています。事務局長、会長として連合運動、日本の労働運動をご指導いただいただけでなく、全国一般運動にいつも温かい眼差しで大変なご指導・ご支援をいただいたことをこの場を借りて、全国一般を代表してお礼申し上げたいと思います。本当にご苦労様でした。
 本大会の設営にあたって山形地方本部をはじめ東北ブロックのみなさんのおかげで開会することができました。東北ブロックの皆さんに大会終了までご面倒をおかけすると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
 このご苦労に報いるためにも、大会参加者の皆さんの熱心な討論で大会を成功させていただくことをお願いし、中央執行委員会を代表してのご挨拶とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。